定年・早期退職者のFP独立起業を希望する人が増えている

資格学校やFP実務研修の参加者は40~60代で占められている

今や人気資格となったFP資格ですが、近い将来に早期退職や定年退職後のセカンドキャリアとしてFP独立起業する事を見越して資格学校やFP実務研修等に通う人もいます。

こうした背景から資格学校やFP実務研修の場は若い人が少なく、参加する層はほとんどが40〜60代で占められているそうです。

生き方の多様化でシニア起業が増えている

近年の働き方改革や企業の副業解禁、大企業の早期退職推進等も相まって、シニア起業は年々増加傾向にあります。

こうした傾向は雇用の流動化や起業も促進され、働き方改革のみならず、キャリアも多様化してきています。かつてのような新卒一括採用からの終身雇用がキャリアの終着点という考え方は既に時代錯誤の象徴になりつつあります。

複数のキャリアを掛け合わせてフル活用する時代

近年は、かつてのシングルキャリアから複数キャリアとの掛け合わせで仕事をするというのが時代のトレンドとなりつつあります。ひとつの会社に就職し定年まで勤め上げる終身雇用制度は既に過去のものとなり、これからの時代はこうした従来のステレオタイプのモデルはキャリア形成の上でむしろリスクとなるでしょう。

こうした危機感から、キャリアに関する情報を早く掴んで次のキャリアの準備をするシニア層が増えてきました。働き方改革による副業解禁や残業を無くす事で得られる時間で例えばFPを含む資格取得や社外活動の経験はセカンドキャリア構築に大きく役立っていると言えます。

従って、 将来的に早期・定年退職いずれの形になっても次のステップにいける準備がとても重要であり、会社員でいる今のうちに将来を見越しておくことが大切です。

また、会社員でいると人間関係の大半は社内となるため、退職後に新たな人間関係を構築できず苦労する方も少なくありません。会社の看板を活用してきた方は尚更です。

だからこそ、できるだけ早い段階で将来を見据えて在職中に社外活動を通じて人脈形成の構築を進め、いつでもセカンドキャリアに移行できるよう備えておきましょう。

最近のFP業界でシニアのFP独立起業が増加傾向にあるのも、こうした様々な社会背景が挙げられます。

なぜFP資格で独立起業したいと考えているのか

業界全体をみてもFP独立起業するケースは40代〜60代が大半を占めています。事実、FP業界の平均年齢は50代から70代が多く、40代の独立系FPは若手という扱いになります。

理由は主に以下の事が考えられます

・ 金融未経験だか社会人として築いてきた経験値をFPとして活かしたい

・ 金融機関で得た人脈や経験値を早期・定年退職後に独立系FPとして活かしたい

・ 自分が経験してきたお金の問題(相続・年金・病気・離婚等)で得た知識を活かしたい

・ 元々好きだったお金の知識やFP以外に得た資格(宅建士・行政書士等)を活かしたい

その他、様々な理由がありますが、筆者が話を聞く多くのケースはこれらに当たります。

シニア世代だからこそできるFP実務がある

FP実務を行う上で、経験豊富なベテランFPのニーズは高いと言えます。例えば、相続・空き家問題や年金・介護・認知症による家族のお金の問題等、ニュースでも取り上げられるこれらの問題は、日本社会が抱える大きな問題です。

こうした問題にFPが果たす役割はとても大きいと言えますが、残念ながら独立系FP(特に金融商品を販売しない、相談やライフプランニングのフィーで活躍しているFP)は、まだまだ少ないという状況です。

そして、5080問題に象徴されるように、こうした問題に対応できる経験値のある40代後半以降のFPは自身の経験を踏まえて活躍できる分野であると言えます。

もし、自身が親の介護を経験していたり、相続を経験した事はFP実務に大きく役に立つことはもちろん、相談するお客様に寄り添ったプランニングや提案ができるのでお客様ニーズとマッチしています。

理念を持って起業しよう

早期・定年退職後の新たなキャリアとして独立FP起業が選択肢となるのは、自身のFP資格を活かせるチャンスであるだけでなく、専業として活動しているFP業界の活性化にもなり得るでしょう。

しかし、FP独立起業して経営をしていく事は想像以上に厳しい世界である事も確かです。

ただ、取得した資格を活かしたいという事だけで起業するのはおすすめできません。

独立系FPも起業である以上、経営をするという事を知る必要があります。従って、起業を考えている方は、なぜ独立起業したいのか、起業して何をしたいのかを明確にし、しっかりとパーパスと理念を持って本気と覚悟の上で起業しましょう。